サラリーマンの多くは年末調整で所得税の納税が完了しますが、なかには確定申告が必要となる場合があります。
ふるさと納税や住宅ローン減税での還付申告のほか、副業や小遣い稼ぎ、ポイントサイトの利用などでも申告が必要な場合も。
サラリーマンの確定申告についての基礎知識を見ていきましょう。
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確定申告とは
確定申告とは、その年の1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額に応じて、翌年の2月16日~3月15日の間に所得税の額を個人で確定し、税務署に納税を申告する手続きのことです。
正確には、復興特別所得税も併せて申告が必要となります。この記事では便宜上、復興特別所得税も含めて「所得税」としています。
「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(平成23年法律第117号)が平成23年12月2日に公布され、平成25年1月1日から施行されます。
このため、源泉徴収義務者の方は、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収し、その合計額を国に納付していただくこととなります。
年末調整との違いは?
多くの場合、サラリーマンや公務員は年末調整によってその年の所得税の税額が確定するため、改めて確定申告をする必要はありません。
本来、所得税は確定申告によって税金を収めることが原則ですが、事業者等の源泉徴収義務者(賃金を支払う側)が代行し、納税者の給与所得及びそれに対する所得税等をまとめて「調整」できる制度で、確定申告の簡易版といったところ。
年末調整についてはこちらにまとめてあります。
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還付申告でお金が戻ってくるケース
確定申告は、基本的には所得税を納税するための申告ですが、サラリーマンの場合は「還付申告」を利用するのに申告が必要となるケースが主です。
年末調整では対応できない控除の制度がいくつかあるため、該当する場合は確定申告をすることで文字通り税金が還付、つまりお金が戻ってくることになります。
面倒そうだと言って手続きをしないと損をすることにもなりかねません。
- ふるさと納税
- 住宅ローン控除
- 医療費控除(またはセルフメディケーション)
還付申告を受けるためには、「確定申告書」「源泉徴収票」に加えて、還付申告の内容に応じて提出すべき書類が変わります。
還付申告については翌年の1月1日から行うことができるため、税務署が混み合う確定申告の時期を避け早めに申告を済ませれば、手続きを円滑に進められます。
参考:国税局・税務署を調べる
住宅ローン
住宅をローンを組んで購入し住宅ローン控除を受ける場合は、また一定要件に合うリフォームをしてリフォーム減税による控除を受ける場合は、購入・入居した年の翌年1月以降に「確定申告」が必要となります。
必要書類は下記の通りです。
- 住民票の写し
- 建物・土地の登記事項証明書(法務局で入手)
- 建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し(不動産会社と契約した書類)
- 住宅ローンの残高を証明する「残高証明書」(金融機関から送付される)
ほか、一定の耐震基準を満たす中古住宅の場合は「耐震基準適合証明書」又は「住宅性能評価書」の写し、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合は「認定通知書」の写しを併せて提出します。
なお、住宅ローン減税は初回となる年は確定申告が必要ですが、会社員等であれば2回目以降は「年末調整」での手続きができます。
初回の確定申告後、税務署から送られてくる「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書等」という書類に、住宅ローンの「年末残高証明書」を添付して年末調整で申告します。
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ふるさと納税
ふるさと納税を行い、ワンストップ特例の申請を行わない場合も確定申告が必要となります。
必要書類は下記の通りで、ふるさと納税後に自治体から送付される「寄付金受領証明書」以外は、特に難しい書類はありません。
- 源泉徴収票
- 寄付金受領証明書(自治体から送付される)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード、マイナンバー記載のある住民票の写し等)
- 口座番号(控除金受け取り用)
- 印鑑
確定申告から1〜2ヶ月後に所得税から還付、翌年6月には住民税から控除額が引かれた額が記載された「住民税決定通知書」が届きます。
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医療費控除および医療費控除の特例(セルフメディケーション)
一定以上の医療費を支払い、医療費控除を受ける場合も確定申告が必要となります。
- 源泉徴収票(原本)
- 医療費の支出を証明する書類(領収書等)
- 医療費の額など定められた事項の記載がある明細書、又は医療保険者から交付を受けた医療費通知書
「医療費の額など定められた事項」は、医療費の額、診療等を受けた者の氏名、診療等を行った病院、診療所その他の者の名称又は氏名、とされています。
また、明細書の記載内容を確認するため、確定申告期限等から5年間、税務署から医療費の領収書など(次に掲げるものを除きます。)の提出又は提示を求めることがあるとされており、領収書等は保管しておく必要があります。
セルフメディケーション
平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間、自分または家族・親族(自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族)が特定一般用医薬品等(スイッチOTC薬品)を購入し費用を支払った場合、セルフメディケーション税制による控除を受けることができます。
対象は支払った費用の12,000円を超え88,000円を限度とする金額部分、また医療費控除とは選択制で、いずれか一方のみ控除を受けることができます。
ただし、「その年中に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の健康診査や予防接種などを行っているとき」とされており、インフルエンザの予防接種、市町村のがん検診、会社の定期健康診断、特定健康診断を受けた場合の領収書・結果通知表が必要となります。
所得控除を受ける為には、下記の情報が明記されたレシート・領収書が必要ですが、一般的なドラッグストア等で購入したレシートで基本的に問題ありません。
- OTC医薬の製品名
- 金額
- 当該製品がセルフメディケーション税制対象のOTC医薬品である旨
- 販売店名
- 購入日
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確定申告で追加の納税が必要なケース
よく知られるように、株や投資などの副収入で20万円を超える所得がある場合、「雑所得」として申告が必要になります。
所得税法では所得を10種類に区分しており、雑所得とは他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得をいいます。
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得(上記いずれの所得にも該当しない一時の所得)
- 雑所得
一時所得とは、例えば次に掲げるようなものが該当します。ちなみに宝くじは非課税で該当しません。
- 懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金
- 生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金
- 法人から贈与された金品
雑所得は、公的年金等、非営業用貸金の利子、(著述家や作家以外の人が受ける)原稿料や印税が例とされており、株式や投資信託での運用益、FXの取引やビットコイン等の取引での利益、アフィリエイトやポイント等も雑所得に当たります。
公的年金等や原稿料・講演料などは、原則として支払の際に源泉徴収が行われています。
また、定期積金の給付補てん金、抵当証券の利息など、いわゆる金融類似商品の収益については、その支払の際に一律20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、地方税5%)の税率で源泉徴収が行われます。
これらの所得については、源泉分離課税が適用されますので、確定申告を行うことはできません。
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参考:国税庁 雑所得
その他
年間の給与年収が2,000万円を超える場合、2か所以上で賃金の支払いを受けている場合、また中途で退職をした場合なども、確定申告が必要となります。
また株式・投資信託・FX等の運用益では、特定口座の取引では源泉徴収が行われるため基本的には確定申告は不要なのですが、年間でマイナスが出た場合は損失額を他の配当所得と通算したり、トータルでの損失を最高3年間にわたって繰り越すことが可能なため、確定申告を行うことで節税できます。
まとめ:制度を正しく理解して適切な確定申告を
サラリーマンでも、お金の運用や副業・小遣い稼ぎを始めると確定申告は避けては通れません。
制度と正しく付き合い適切に納税しつつ、不要な税金を払い過ぎてしまうことの無いよう、基本を押さえておくことが重要といえます。
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